『大槻教授の最終抗議』大槻義彦(著)★★★☆☆
土曜の午後、自動車図書館(自動車図書館がくる - 主夫の生活)で借りた1冊。
自動車図書館は1.5ヶ月に1回ぐらいしか来ないので、一度に何冊も借りることになる*1。一度に何冊も借りると、なにから読み始めるべきか、それが問題になる。はやく読み終わりそうな本、つまりページ数のすくないうすい本、かるくておもしろそうな本、から読み始めれば、たとえ期限までに全冊読みきれなかったとしても、読み残しの本はすくなくなる。まあ、学校のテスト方式だな。でも、最後に長い本を読んでてその90%ぐらいで返却期限がきてしまうと、とてもくやしい。が、つづきを読みたきゃまた借りればいいし、また借りるにしてもその冊数が少なくてすむ。なので、おれはたいていそうしている。
というわけで、まず読んだのはこれ。
- 作者: 大槻義彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/11/14
- メディア: 新書
- クリック: 27回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
が、過去の記事を読んでいるとき、この本を知って、すぐに予約をした。
その日のうちに読み終わってしまった。たいしたことはない。ほとんどなにも残っていない。ブログを読んでいたからかもしれないが。
ただ、終わりのほうの竹内久美子氏批判のところで、氏の著書を引用して次のように書いている(136−137ページ)
<…結核にも天然痘にも、らい病にも、O型は弱くないという共通点が存在する。O型の人に社交的な傾向が、世話好きで何かというとすぐ人を招集したがる傾向があり、その他の型の人々にそれほどまでには社交的ではない傾向があるとしたら、それはまずこのような伝染病による淘汰ということが考えられるかもしれない>
つまり彼女が言いたいのは、細菌やウイルスに対する抵抗力が比較的強いO型の人は積極的に社交する性格になり、抵抗力が弱い血液型の人は、病気を避けるために臆病になるのではないか、ということらしい。
この“抵抗力が弱い血液型の人は、病気を避けるために臆病になる”、そして明示的には書かれてないが、“O型の人は「病気を避ける必要が少ないので」積極的に社交する性格になり”というのが竹内氏の言わんとするところであれば、それはやはりおかしいと思う。が、はたしてそうなのか?
仮に
- O型の人が伝染病に強く
- 社交的であることが伝染病の感染機会をふやす
とすれば、
《はじめはどの型も同じくらい社交的だったとしても、O型以外の社交的な人は感染して子孫を残すことができず、O型の社交的な人は子孫を残せたかもしれない》
そういう意味ではないのか?
と思ってその先を読むと、おなじく竹内氏の著書からの引用で
<(略)O型の人はそれほど病気を恐れず、広く交わることができるだろう>
とある。
これはおかしい。さっきの話からねじれてきちゃってるぞ。それとも、やっぱり大槻氏の言うように、はじめからおかしかったのか。
とはいうものの、そのあとの大槻氏の
昔のアメリカの先住民は、自分の血液型も、梅毒がスピロヘータ菌よる感染症であることも知らなかったはずだし、特定の病気に強いかどうかなど、かかってみないと分からない。自分が病気に強いタイプだから積極的に行動するようになるという論理は、まったく成り立たない
という批判もおかしい。
まず、“スピロヘータ菌”という言い方は聞いたこともないし、検索してもほぼ出てこない。まあ、それはいいとして、
“梅毒がスピロヘータ菌よる感染症であること”は、ここでは関係ないだろう。知らなくても、知っていたとしても。また、“自分の血液型”を知っていたとしても〈O型は感染しにくい〉ということを知っていなければ積極的に行動することにはならない。つまり、“自分の血液型”を知らなくても、自分は“特定の病気に強いかどうか”さえわかっていれば、それだけでいい。だから“自分の血液型も、梅毒がスピロヘータ菌よる感染症であることも知らなかったはずだし”の部分は必要ない、というか、余計である。
*1:普通の図書館より2冊多い8冊まで借りれる