「1万年の進化爆発 文明が進化を加速した」グレゴリー・コクラン, ヘンリー・ハーペンディング(著)古川奈々子(訳)★★★★☆
- 作者: グレゴリー・コクラン,ヘンリー・ハーペンディング,古川奈々子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2010/05/27
- メディア: 単行本
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むかしむかし(紀元前3000年頃?)あるところにインド・ヨーロッパ祖語を話す集団がいた(おそらく黒海とカスピ海のあいだに住んでいたクルガン人)。そのなかのひとりに突然変異が起こり、乳糖耐性が生じた。やがてその遺伝子がその集団にひろまっていった。
成人になっても牛乳(あるいは他の動物の乳)が飲めるというのは、そうでないのにくらべて圧倒的に有利である。なぜなら,肉を喰うために牛(あるいは他の動物)を殺すということをしなくてもよくなるからだ。殺さなくても栄養がとれるほうが断然効率がいい。
ということで。その集団は大きくなる。
もともと牧畜をしている人たちは耕作をしている人たちよりもタンパク質の摂取量が多く、体格がよく強かったのだが、酪農をするようになって、ますますその居住域を広げていく。
とくに、寒冷で農耕にあまり適していないところに広がっていく。牧畜は、耕作地にしばられないので、どんどん広がっていける。
牛はみずから歩いてくれるので、大量の穀物にくらべて盗みやすい。なので、牛をめぐる戦いが頻発した。そうして人々は戦闘的になった。また、体格がよく、機動性があり、数でまさる酪農集団は、戦いに勝つことも多く、より好戦的になっていた。
まあ、そんなかんじ。
で、思ったんだけど、なんで、インドで牛を殺しちゃいけないことになっているのかわかったような気がしたよ。なんか、ストンと腑におちた。きっと、この牛の生命があってのミルクなんだから、ということじゃないのかなあ。それに、かの地がインド・ヨーロッパ語族の広がりの最東端というのも関係あるかもね。
どうしてインドで牛が神格化されてるか、なんてことも考えたことなかったけど、たしかに[牛]はへんだよ。ガルーダみたいに鳥だったら、天と地をなかだちするもの、ということで納得できるけどね。