クルミの食べ方


むかしYちゃんにもらったクルミはそうでもなかったのだ。Yちゃんちの実家は教会で、なんでも信者さんに大量にもらったとかで、そのおすそわけをかなり、独身の一人暮らしとしてはかなり大量にもらった。そのときは職場のデスクの引き出しに入れておいて、夕方小腹がすいたとき、プライヤで割ってすこしずつ食べていた。プライヤで簡単に割ることができたのだ。
ところがこのY氏にもらうクルミは、そうは問屋が卸さない。プライヤなんかじゃまるで歯がたたない。Y氏は、「こげない程度に乾煎りするときれいに割れる」と言っていたが、はじめっからその方法ではうまくいかなかった。なので、ただ単に金槌でぶったたいて割っていた。そうすると中身もくだけとんだり、殻が中身に食いこんだり、無駄が多かった。
たしかA氏だったと思うが、バイスを使うといいと言っていた。俺もむかし、普通のテーブルに取り付けるタイプの万力で試したことがあったが、そのときはうまくいかなかった。A氏の話では、Cクランプを使うようだった。なるほど、それならはさむところの中央部がへこんでいて安定するな。
というわけで、わが家にはCクランプがないので、テーブルに取り付けるタイプの万力の取り付け部の方ではさんで割ろうとしたが、ダメだそもそも硬すぎる。割れないこともないが、割れないときも多い。割れたとしても大変だ。汗かいちゃうよ。普通に口金のほうも再試行したが、おんなじだ。
結局、従来どおり金槌でぶったたいて割ることにしたのだが、外でやると蚊にさされそうだし、部屋の中でやると殻が飛び散って後始末が大変。
それで、ふと思いついて、ノミを使ってみた。
それが、大正解。
きれいにまっぷたつに割れる。だから殻も飛び散らない。そして食い込まない。あとは千枚通しでほじくり出せばいい。たまにはそんなことせんでもスポッととれてくるときもある。おもわず食べすぎちまったぜ。