財布をなくす

下の子の話。
きのうボート部の練習を終え漕艇場から家に帰るため、港区役所駅で地下鉄に乗ろうとして財布がないのに気がついたらしい。艇庫では着替えもするのでてっきりそこで落としたかと思い、もどってはみたものの見当たらない。鞄の中にあるかと中身を全部出してたしかめてもやはりない。それでおれに電話してきた。
なかには現金1万ちょっとのほかにJRの定期券(TOICA)と地下鉄の定期券(MANACA)と名鉄の定期券(磁気カード)と保険証が入っていたらしい。保険証と自宅の鍵が入っていたというので、いまはもう簡単にはできないのかもしれないが、ヤミ金でカネを借りるとか悪用されたらおおいに困る。なので、すぐに警察に届けるようにいったものの警察(港警察署)の場所も電話もわからない。まあ110番でいいぞ、ということで。
問題は鍵だ。保険証には自宅の住所も書いてあるので、その気があればここまできて堂々とその鍵でドアを解錠し、家の中を物色すればいい。家の鍵を交換しないといかんなあめんどくせえなあ。
と思っていたら、こんどは自宅の固定電話の方にかかってきた。お、さっそく警察か?と電話にでると、地下鉄の港区役所駅からだった。30分ぐらい前に届けてくれた人がいたんだって。うわお、ありがたい!日本もすてもんじゃねえなあ。
[ドジ]は血筋なのか、おれも、よく忘れたりおとしたり盗まれたりってことがあったんだよね。
ホームセンターで商品を手にとってじっくり見るときそのへんにセカンドバッグ(を男が持ち歩いていた時代があったよねえ)を置いてそのまま忘れ、お店から電話をもらって忘れてきたことに気づいたり、オートバイで通勤してるのになぜか地下鉄の鶴舞駅から電話がかかってきて「カバンを落としませんでしたか?」と聞かれ、オートバイのところへ見にいくとやはりなかった、とか。
そのころおれは家に帰ってきてもカバンをバイクの後にしばったままで取り外しもしてなかったんだ。それにしてもオートバイで地下を走るわけないのに、地下鉄の駅からっていうのがよくわからんけど、たぶん地上で見つけた人が地下鉄に乗るついでに届けてくれたんだと思う。
グァムの帰りに大きなスーツケースにばかりきをとられて小さなカバンを電車に置き忘れるということもあったなあ。あんときは逆方向の電車ですぐに持ってきてもらえたと思う。
盗まれたのはクルマの中からで、たしか免許証だけだった。免許証なんてどうせクルマに乗るときしか使わないから(そのころは二輪に乗ってなかった)ってんで、クルマの中に入れっぱなし。駐車場も自宅のすぐ横だからってカギもかけてなかったんだよね。このときはたしか出てこなかったと思う。そりゃそうだよね。落とし物じゃないもん。故意に持ってたんだから。
下の子もこれがはじめてじゃないし。iPodTouchをなくして、翌日ぐらいに名鉄に届けられてたってこともあったもんねぇ。


110番に電話したら港警察署の電話番号を教えてもらったそうだ。届けはなんか電話だけでよかったらしい。今はそんなんか。未成年なので保護者もいかなかんかも、と思ったりもしたが、いかんですんでよかった。
きのうはピアノのレッスンの日で、またもやお休みになっちまったよ。
家に帰ってきて、お礼の電話をしなかんと、地下鉄の駅でもらってきた紙を見ると、ローマ字でラテン系の名前が書いてあった。拾ってくれた人はどうも外国人らしい。さっき「日本もすてたもんじゃねえなあ」って思ったけど、なんだ日本じゃないじゃん。電話をするとやはり片言で、下の子は自分の言ったことがどれだけ伝わっているのか不安だけど、金銭的な謝礼をしたいと言うと、それは必要ない、というようなことを言われたようだ。
おれは、おぼれた人を助けたインド人を思い出してたんだけどね。意識がもどったらすかさず親指と人差指をこすり合わせる動作(紙幣を数えるしぐさだろう)をしてたからなあ。あのとき謝礼の額をきいて、おれはちょっと腹がたったけどね。「おまえの命はたったのそれっぽっちの値うちかよ!」ってね。インド人を馬鹿にするな、だぜ。
今回も、よく謝礼は1割なんて言うけど、鍵のことを考えると10割でもいいくらいだと思ってたよ。