「ニューヨーク地下共和国」梁石日(著)★★☆☆☆

ニューヨーク地下共和国(上)

ニューヨーク地下共和国(上)

ニューヨーク地下共和国(下)

ニューヨーク地下共和国(下)

一時期タクシー運転手にあこがれていた時期があった。それで、タクシー関係の著作のあるこの作家が気になっていた。が、いままで読んだことはなかった。
2月の自動車図書館でこの本を偶然みつけ、キャパに余裕があったので借りてみた。しかし、途中、「1Q84 BOOK2」と「同 BOOK3」を読んでいて、返却期限までに読みおえることができなかった。というか、上巻をすこし読み始めたぐらいのところで3月の自動車図書館が来てしまったのだ。
3月も借りる本のキャパがあったので(予約した本で来たのは8冊中4冊のみ)、継続で借りれるか、と聞いたら、予約が入ってなければ、と言われ、問い合せてくれて、予約が入ってなかったので借りれたのだった。
はじめ、日本人ではないかもしれんが日本人みたいな人が日本語で書いているのに舞台がニューヨークなので違和感を感じていたが、いわゆる9.11同時多発テロが起こったので、ああなるほどと納得する。
この人は、せりふを書くとき「なんちゃらかんちゃら」とだれだれが言った。みたいに、誰が言ったかをせりふのあとで書くので、声色をかえて朗読する人にとってはくせものである。登場人物になりきってせりふを言ったあとで、別人だったことがわかって、具合のわるいことになってしまう。照れくさいし、読みなおさないといけない。俺は、読み聞かせぐせがついているのか、自分ひとりで黙読するときも、どうやら頭の中で声色をかえて音読しているらしく、そういうことが頭の中でおきて、実際なんども読みなおしをしなければならなかった。
ときどき、だれが言ったかを書かない人がいて、なんど読んでもだれのせりふがわからなことがある。それはそれで困るときがあるが、これはこれで困ったものだ。
地の文もあんまりかっこいいとは思えなくって、この人の本を読むことはたぶんもうないだろう。
まあ、ようするにテロの話なんだ。それは表紙を見ればわかるってものだ。でも、本棚にある状態では背しか見えないので、わけもわからず借りて、なにも知らずに読みはじめ、読みはじめてからもマフィア関係のお話かなあ、なんて思いつつ読みすすんで、途中でようやくわかってきたのだった。読みはじめちゃうと表紙は見えないしねえ。
その後もけっこう激しいテロがいろいろ起きるんだが、あんまり緊迫感がないんだな。俺としては議論よりも、テロそのものをもっと詳細に書いてほしかった。
なんかちょっと素人っぽいように感じた。よく上下巻で出させてもらえたなって感じ。