「たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する」レナード・ムロディナウ(著)田中三彦(訳)★★★★★

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

いかに多くのことがらがランダムネスに影響されているか、にもかかわらず、われわれはいかに多くのことがらを必然ととらえるという誤りをおかしているか、というお話。
例としてあげられている確率を自分で計算したりしてたんで思いのほか時間がかかってしまった。でも、おもしろかった。有用な情報てんこもり。何か所かわけのわからないジョークらしきものもあったが、それをさしひいても。
どうして僕らが現実を見あやまるか、という理論がたくさん紹介されていたが、その中で特に印象に残ったものだけを少し。
《可用性バイアス》思い出しやすいことに重要性を付加する。見られているって、どうしてわかるの? - 主夫の生活でインド人の言った理屈である。
《訴追者の誤謬として知られるあべこべの誤謬》Bが起きるときにAが起きる確率は、Aが起きるときにBが起きる確率とは異なる。たとえば、HIVでもドーピング検査でもマンモグラフィでもいいが、検査陽性のとき実は陰性であるある確率(自分が検査陽性のときはこちらが重要)と、実は陰性であるのに検査陽性となる確率(こっちが偽陽性率)とは異なる、というようなこと。
ヒューリスティックス》ランダムな事象にパターンを見出す。例として、

ランダムに点滅する円形に並んだライトを見せ、意識を集中させればライトの点滅を時計回りに動かすことができると人びとに言うと、人びとはそのようなことを引き起こす能力が自分にあることに驚くだろう。
276ページより引用

とあったので、そのようなものがwww上にないかさがしてみたが見つからず、かわりにこういうものがあったのでリンクしておきます。ちなみに、胴体を見ないように脚だけまたは脚の影だけ見るようにして、脚が回転ではなくただ左右に揺れているだけだと思って左から右あるいは右から左に揺れるイメージの勢いで全体を見ると思いどおりに回転させることができるようになります。