ボディ側面のプレスライン

クルマによく乗っていたころは、前のクルマのケツばかり見えるので、やたらと排気管まわりのデザインが気になっていた(うつくしいうしろすがた - 主夫の生活)。リンク先にはなぜか書いてないが、じつはFitの排気管もメルベン190Eのそれも下向きだった。バンパーに「えぐり」もない。
そういえばスバルのR2が出たとき、「美しい」と思って見にいったら、排気管は後ろ向き(で、しかも、なぜか長い!)、消音器のお太鼓まで丸見えなんでげっそりしたのだった。
ところで、最近、クルマに乗るよりも歩くことが多くなって、クルマに乗っているときはほとんど気にならなかったクルマの側面のデザインがやたらと気になる。デザインといっても、全体的なものじゃなくて、偏執的にプレスラインが気になるのだ。
はじめは前から後ろにとおってるラインだった。普通ドアノブあたりの高さにあるやつ。もっと低いところにあるやつもある。両方あるやつもある。たいていは凸ラインだが、凹ラインのやつもある。下のほうにはRの大きい凹ラインが多い。なぜそんなものが必要なのか。強度を確保するするためか?とも思ったが、まれにのっぺりと(すっきりと!)なにもラインのないやつもあるので、そういうわけではないのだと思う。
そのうち、タイヤハウスまわりのラインがむしょうに気になりだした。ほとんどどのクルマもタイヤハウスの数センチ外側に凸ラインがつけてある。数センチというのは車によってかなり幅があるからだ。2〜3センチぐらいのが多いけど、中には5センチ以上あるようなのもある。そのラインの内側はぺったんこの平面で周りの曲面とそぐわない。なぜそんなものが必要なのか。空気を巻き込まないようにするためか?とも思ったが、まれにのっぺりと(すっきりと!)なにもラインのないやつもあるので、そういうわけではないのだと思う。ものによっては端からさらに離れたところに凹ラインが入れてある。こうなると空力なんかまったく関係ないとしか思えない。
新しいミラバンなどドア下部の凸ラインと後輪タイヤハウス上部の凹ラインがぶつかっちゃってるし、アルファードなんか、タイヤハウス上の凹ラインがタイヤハウスのカーブと平行じゃないんでみっともないったらありゃしない。スズキのエブリイはまんなかあたりの高さに深い凹ラインがまっすぐとおっているが、これは、スライド式の後部ドアのレールとバランスをとるためだと思われる。ドアのレールは必要だからみっともなくないが、ボディーの凹ラインは不必要だからみっともないのだ。前のFitはドアノブ位置に1本凸ラインがあっただけなのに、新しいFitは少し下にもう1本凸ラインが入ってしまった。
こうしてみてると、どうもダイハツはこういう無駄なプレスラインが多すぎるような気がする。どうせプレスするときは一緒だからといっぱいスジ入れるのは、なんか貧乏くさくないか。
でもって、比較的まともなのはトヨタのような気がする(中にはひどいのもあるが)。ホンダもタイヤハウスまわりのラインはめだちにくいと思う。
これって、日本車だけのことじゃないんだよねえ。あと、高級車と安作りの違いか?と思って見ても、そうでもないみたいだし。
それにしてもこれだけたくさんのクルマがあって、つまりそれだけたくさんのデザインがあって、つまりそれだけ多くのデザイナーがいるのに、俺と同じ感性のやつが一人もいないとは。
ということで、「欲しい」「買いたい」と思えるクルマが1つもなくなっちゃいました。こういう観点でクルマを見るというのは、ひょっとして、「欲しい」「買いたい」気持ちを回避するための一種の防衛反応かもしれないな。