ダンシング・ヴァニティ ★★★★★

ダンシング・ヴァニティ

ダンシング・ヴァニティ

すごい本だ。こんなのは見たことがない。音楽や詩では、繰り返しは常套手段だ。が、散文ではそうではなかった。というか、繰り返しがないので韻文ではなく散文なのだ。だからこれは散文ではないのか。でも、繰り返しといっても韻ではない。繰り返しのひとつひとつのユニットが通常の韻文のそれよりははるかに大きい。ということで、構造的に音楽的な小説である。で、その繰り返しがただ単に音楽的な構造を作っているだけではなく、お話の主題になっているところがすごい。それに、全体の構造が音楽的だけじゃなく、個々の文章そのものも音楽的でリズムがいいので、すらすらと読めてしまう。
でも、どこまでが現実でどこからが夢なのか、何がなんだかさっぱりわからない。が、そもそも俺たちの頭の中とはそういうものなのだ。って、このまえ書いたな*1
俺たちが現実だ(夢だ)と思っていることがらは、俺たちが現実だ(夢だ)と思っているにすぎないのだ。
もうこれは、頭の中そのもの。脳内小説。