『最悪』奥田英朗(著)★★★★★

最悪 (講談社文庫)

最悪 (講談社文庫)

おもしろかった。
はじめのほうは3人を中心とした登場人物の日常生活の描写がつづき、とくに大きな事件はおこらない。それでもページをくる手が止まらない。ちょっとしたズレがまるでバタフライ効果のように連鎖して、だんだん振幅が大きくなっていく。ついには、3人の波の山と山、谷と谷がかさなって、えらいことになってしまうのだ。
でもって、このまえの『邪魔』より、おれはこっちのほうがよかったな。事件のあと、関係者がどうなったかというところまで、簡単ではあるけど一応かいてあるし。
たしかに『邪魔』系なんだけど、むしろ『無理』のほうにちかいかも。
ところで、読んだのは図書館で借りた文庫版なんだけど、641ページから本文の最終ページである648ページがはずれてて、気をつけていてもポケットから電話をとりだそうとしたときとかにちょっと気がゆるんでバラバラって落ちちゃうんだよね。それも鬱陶しいんだけど、ひろいあげるとき、結末が目に入っちゃうんじゃないかと思ってそれが心配で、もう最悪。