『ジャングル・フィーバー』★★★☆☆
人種問題について観念的に理解しているつもりでも感覚的にはわかっていない。観光客としてではなく、労働者としてあるいは学生として何年かヨーロッパやイギリスやアメリカ合衆国に暮らせば、身につまされてわかるのかもしれない。日本に住んでて、つくづくよかったと思う。すくなくともその点だけは。
アフリカ系もヨーロッパ系も互いに興味をもつことは、生物として、きわめて自然なことじゃないかと思う。妨げているのは文化だろう。
主人公の妻は、肌の色もかなり明るく(日本人ぐらい)顔つきも彫りが深くてほとんどヨーロッパ系である。なのに、彼女は自分を「黒人」といい、「黒人」であることに誇りをもっている。「黒人」ということは「黒人」の文化をもっているということであって、この場合肌の色は関係ない。浮気相手はイタリア系なのに、たしか映画の中で「私のほうが色が濃いくらい」みたいなことを言っていた。だからやっぱり[黒人][白人]というのはおかしいのだ。
食いものや、着るものや、生活習慣や、宗教などがちがえば、とうぜん軋轢が考えられるので、つきあうとか、結婚するとか、親戚になる、ということになるとためらいが生ずることも自然である。それは肌の色のちがいではない。そういう問題はおなじ肌の色のあいだでもよくあることなのだ。
音楽は、たぶん全編スティーヴィー・ワンダー。
サミュエル・L・ジャクソンがこわかった。
浮気相手は妻、とくに20年ぐらい前の妻によく似ていた。顔つきだけじゃなく、髪型も。Annabella Sciorra というのか。ほかの写真も見てみたけど(http://www.imdb.com/name/nm0001711/mediaindex:Title)、そんなに似てないな。この映画のときは特別かな。