「移行期的混乱―経済成長神話の終わり」平川克美(著)★★☆☆☆
- 作者: 平川克美
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/09/09
- メディア: 単行本
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読んでみると、たしかにそのとおり、俺の考えていることとほぼ同じだったんだが、それ以上のものではなく、こまかい数値的なもの以外で、とくに新しい知見は得られなかった。自分と同様、単なる思いつき、の感はぬぐえない。自分の思いつきを補強してくれるような明確な根拠を求めて読んだのに、他人を説得できるような(自分自身を納得させられるような)強力な証拠のようなものは見あたらなかった。とても残念。時間の無駄だった。
それに、ところどころ日本語がおかしいと思われるところがあって、なんども読みなおして、いくつか解釈を考えて、その中からもっとも妥当性のあるものを選んで、たぶんこうだろう、と好意的に解釈して(確証は得られぬまま)読みすすめたり、クイズのように頭を使って結局わからずにあきらめて先に進んだところが何箇所もあった。でも、決定的におかしい、と確信できるほどではないので(自分の理解力が足りないだけかもしれない)付箋を貼りつつ読むこともなく、具体的にどこがおかしいのだ?と言われても、すぐには答えられない。かと言って、読み返してさがすような気力はない。なにしろ、数が多いのだ。ただ、最後のほうで、ひとつぐらいは…と思い、わかるようにしておいたところがある。
〜ことなどが示しているのは、これまでのような右肩上がり、拡大再生産の歴史プロセスに変化が起きていると考えるほうが自然だろう。
(213〜214ページ)
この場合、「〜いるのは」と掛かっているので、体言で結んでもらわないと困る。つまり、「右肩上がり、拡大再生産の歴史プロセスに起きている変化と考えるほうが自然だろう」みたいな感じにしてもらわんと。あるいは、前の側を「〜ことなどから」にしてもいいだろう。
これなどは、まだましなほうの例だ。それほど頭を使わなくても、言いたいことはよくわかる。ただ、日本語として違和感があるだけだから。
そんなわけで、うすい本(本文260ページ)のわりに、時間がかかってしまった。