「新世界より」貴志祐介(著)★★★★☆

新世界より (上)

新世界より (上)

新世界より (下)

新世界より (下)

10ページほど読んで、「うん、これはいけそうだ」と思ったが、つづく10ページほどを読んだら「ちょっとまてよ。これってファンタジー?なんかやばいな」って気がしたんだ、「呪力」なんてのが出てきちゃって。
でも、危惧をいだきつつ読みすすめていくと、まあ、たしかにファンタジー系なんだろうろうが、そんじょそこらのファンタジーではないことがわかってくる。なにしろ、死人の数が多い。死にかたがひどい。流される血の量がハンパじゃない。いわばスプラッター・ファンタジーだな。
重い本だと思う。上巻498ページ下巻573ページあわせて1000ページ超はたしかに重たい。持ってる腕もたるくなる。分厚いもんではさんでる指もいたくなる(ついつい本を持つとき左右からチョキではさんじゃうんだよね)。でも、そういうことじゃない。
なにかのアナロジーなんだと思うけど(作者がそのつもりじゃなくても、そうでも思わんとなんのために読んだのかわからん、時間と労力をつかって)、その対象がはっきりとわからないんだな。日本人とか、人間とか、いまの社会とか、いままでの歴史とか、そういうものやもっと具体的で各論的ないろんなことをみーんなあらわしているような気もするけど。
重さとはそのわからなさなんだと思う。