真の独立への道(ヒンド・スワラージ) M.K.ガーンディー(著) 田中敏雄(訳) ★★★☆☆

真の独立への道―ヒンド・スワラージ (岩波文庫)

真の独立への道―ヒンド・スワラージ (岩波文庫)

ガーンディーとはマハトマ・ガンジーのこと。マハトマというのは《偉大なる魂》の意味で、本名は、モーハンダース・カラムチャンドである。モーハンダースというと、
「お客さん、本当に1ダースだけでいいんですかい?」
「じゃあ、もう半ダースもらっとくわ」
ていう、店の主人と客の会話を思い出してしまう。


表紙には

編集者(ガーンディー)と読者(急進的な若者)との対話形式で書かれ

とある。
であるならば、ガーンディーを支える三本柱は、男らしさ(ジェンダー)と、宗教と、ナショリズムではないかと思った。地域や時代を考えれば、しかたのないことだろうが、そのどれも、俺にしてみれば、ないほうがいいと思えるものだ。
しかし、独立したインドは、めざしていたのとは全然ちがう国になってしまったなあ。いわんや1991年(?)以降のインドをや。彼はむかしの、イギリス支配以前のインドにもどしたかったんだよね。ただし、84ページにあるような幼児婚や生贄などの悪習をのぞいて。
ひとつ(だけではないが)編集長はいいことを言っていた。
目的のためには手段を選ばない、は間違い。手段に応じた結果しか得られない。と。
たしかにそのとおりだ。


この本を読むまで、ガーンディーが“粗末な小屋や生活に不満の気持ちを生みだし”(123ページ)た張本人だと思っていた。民族主義国民国家の概念をイギリスからインドに持ち込んで、自分たちのみじめな状態に気づかせてしまったのはのは“ガンジー”だと。誤解しててごめんな。
その123ページは識字について論じている場面なんだが、識字についての考え方も俺とおんなじだった。文字を読めるようにするのは、結局さきに文字を使っていた側が利益を得るためじゃないか、文字が読めなくてもそれまで幸せに暮らしていたのに。ってね。
考え方としては、かなり自分と近いものを感じたね(ただし、上述の三本柱はのぞく)。


ところどころに、ようわからんところがありました。