「百年の孤独」 ガブリエル・ガルシア=マルケス(著) 鼓直(訳)★★★★★

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

すげえ本だったなあ。お話が次から次へとすすんでいって主人公も入れ替わる。こういうのがあったらいいな、と思っていたのが、ここにあった、という感じ。現実的なお話かと思っていると、ときどきひょっこり超現実が顔をだす。あたりまえの現実のように。だからそれも、本当のことのように思えたりもするのだ。
筒井康隆大江健三郎の「同時代ゲーム」(参考:「震える山」C.J.ボックス(著)野口百合子(訳)★★★★★ - 主夫の生活)を思い出していた。全体の雰囲気からそうなんだが、具体的には、下ネタの多いところは筒井氏を、新しいまちをつくるところは大江氏のあの本を思い出させる。
筒井氏が南米文学が好きだというようなことをかつてなにかで読んだ気がする(その中にガルシアマルケスの名もあがっていたと思う)。大江健三郎とはノーベル文学賞つながりか。
たしかにすげえ本だ。とは思うが、謎が提示されそれが段々あかされていく、というかたちじゃないので、はやく先を読みたいというふうにはならない。なので、マイナス1としたいところだが、それ以外のすべて、つまり、上述した、お話が次から次へとすすんでいって主人公も入れ替わるという構造や現実的なお話かと思っていると超現実がときどきひょっこりあたりまえの現実のように顔をだすこと、そして、ゆたかな表現、わかりやすい比喩、気だるい雰囲気、悲しさなどのせいでそれはチャラだ。おもいだすと、それらが胸の中で大きなかたまりになって膨脹してたまんねぇので。