「ルポ 貧困大国」堤 未果(著)★★★☆☆

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

だいたいはいいんだけど、こまかいところで「?」なところがおおくて、読むのに手こずった。
はじめに感じたのは、数値の不整合である。ところが、じっくり読み直してみると、出処のことなる似て非なる統計データであったりして、「矛盾してる」と言えるものではない。つまり、俺の読み方が悪いのかもしれないが、とにかくそんなわけで読みづらかった。
つぎに、「人が減らされていくことに比例して仕事量が増えていく…」とあるが(86ページ)、一人当たり仕事量=総仕事量/人数、つまり人数に反比例であるから、人が減らされていくことで増える仕事量は比例よりももっと激しいのだ。
そして、「…医療サービス・レベルが世界ランキング中37番目、乳幼児死亡率が43番目…」とあるが(90ページ)、「乳幼児死亡率」ではなくて、「乳幼児死亡率の低さ」だろう(http://www.unicef.or.jp/library/toukei_2009/m_dat01.pdf)。
まあ、それらは、両方とも取材相手のせりふの一部なんで、本当に相手がそう言っとるのかもしれないが、そうだとしても特に2つめのやつはいかんだろう。それだとあまりにアメリカの乳幼児死亡率(参照先のユニセフの言い方だと《5歳未満時死亡率》のことだと思う)が大きくなってしまう。
だけではない。

急増する医療過誤

と見出しにあり(88ページ)、そのあと"最も大きな死亡原因の一つが「医療過誤」である…"とカッコつきで続く。そこで、俺としては、当然、これから医療過誤についての話がくるんだろうと思っていると、"…病院側の医療管理によって健康を損なうことを「医療事故」と呼ぶが、…"と、「医療事故」という言葉の説明がくる。ということは、《医療過誤》と《医療事故》のちがいに言及するのか?と思ったらそういうわけでもない。その後は《医療過誤》という言葉がさらりとカッコなしで使われている。さっきの「医療事故」の説明はなんだったのだ?!という感じ。

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

の広告を新聞で見ておもしろそうだなと図書館サイトで調べると、やっぱり出たばっかりなんでまだない。「〜II」を読むなら、そのまえに…ということで読んでみたんだけど、こんな調子なんで、「〜II」を読むのはやめにしとこうかしら。