『ララピポ』奥田英朗(著)★★★★☆

ララピポ

ララピポ

まあ、卑猥というか低俗というか、いや、卑猥とも低俗とはちょっとちがう、淫靡でもない、淫猥でもない、ヤラシイというかエロいというか、お下劣というか、成人向きというか、そのまんま映像化したらまちがいなくR-18だな。
でも、おたがい通りすがり的に関わっている人たちがそれぞれ章ごとに主人公になっていて、彼らがほぼ同時期に自分の周りで起きることをそれぞれの視点でえがくという構造がよかった。また、作中に官能小説作家がでてきて、そいつが出版社の編集者に「ありきたりの官能小説ってわけじゃない」官能小説を期待されるところがあるんだけど、この本がまさにそれになっているメタフィクション的なところもよかった。
それに、なにしろおもしろかった。この人の文章は、とにかくスムーズ。すんなり入ってくるんだよね。
あ、[ララピポ]の意味は作中で。上述した構造と関係があります。