コリン・パウエルの自伝「マイ・アメリカン・ジャーニー」*2を読む

ときどき意味のわからないところがあったり、固有名詞が覚えられなくて困ったりすることはあるが、まあ、面白い。笑えるところも結構ある。
なにしろやはり氏の人柄がいい。そして、気取らない文章も好感が持てる。訳者は鈴木主税。奇しくもサミュエル・ハンチントンの本*1から2連続である。
ジャマイカ移民にどうして優秀な者が多いのか、という説明に納得。あと、まえから俺は、徴兵制は必要だ、と主張してきたが、その根拠を援護する記述があったので、少し長いが引用しよう。

当時の陸軍はほとんどが徴募兵で成り立っていた。彼らは志願兵よりも教育水準が高い傾向があり、大学で教練を受けた者もいたので、その中から事務職や技術スタッフを選ぶことができた。徴募兵は2年間の兵役をつとめてから、大学や職場に、そして妻やガールフレンドのもとに帰るつもりでいた。われわれは彼らのことを「クリスマスの助っ人」と呼んでいた。軍隊に入ってきて、国のために戦い、故郷に帰っていく人たちである。だから、彼らはトラブルを望んでいなかった。
そこへいくと、志願兵はちがっていた。たいていの者がやる気満々であり、多くの者が軍曹に昇進して、陸軍のバックボーンとなる。なかには目的もなしに志願してきた者もいたし、捨て鉢になって入ってくる者もいた。当時は問題を起こしたものに判事が刑務所か軍隊のどちらかを選ばせるケースがしばしばあったからだ。

そんなわけで、イラクでの捕虜虐待も、「さもありなん」なのである。
とにかく、736ページもある本なので(文庫では3分冊)読んでも読んでもなかなか進まない。ような気がしているが、1日で150ページ読めていれば、まあいいペースか。