『人体 失敗の進化史』遠藤秀紀(著)★★★☆☆

人体 失敗の進化史 (光文社新書)

人体 失敗の進化史 (光文社新書)

たくさん本を書いている人にありがちな、次から次へとどんどん言葉が湧き出てくるような文体がちょっと苦手。そして、学問に対する熱い熱い情熱がちょっと苦手。
ここはある意味この本のというかこの人の結論じみたところで、あんまりばらしちゃうのはよくないかな?とも思ったけど、NHK爆笑問題の番組でもそういうテーマで研究の一端が紹介されていたようだし、そもそもタイトルでも“失敗”っていってるし、まあいいだろう、《人間は失敗作だ》と言い切っちゃうところが好き。そこんとこちょっと引用しておこう。
(以下引用)

たかが500万年で、ここまで自分たちが暮らす土台を揺るがせた“乱暴者”は、やはりヒト科ただ一群である。何千万年、何億年と生き続ける生物群がいるなかで、人類が短期間に見せた賢いがゆえの愚かさは、このグループが動物としては明らかな失敗作であることを意味しているといえるだろう。
ヒト科全体を批判するのがためらわれるとしても、あきらかにホモ・サピエンスは成功したとは思われない。この二足歩行の動物は、どちらかといえば、化け物の類だ。50キロの身体に1400ccの脳をつなげてしまった哀しいモンスターなのである。
設計変更を繰り返して大きな脳を得たまではまだよかったのだが、その脳が結局はヒトを失敗作たらしめる根源だったと私には思われる。
(中略)
もちろん、それは、次の設計変更がこれ以上なされないうちに、わが人類が終焉を迎えるという、哀しい未来予測でもある。

(引用終わり)
想像してごらん、人類のいない地球を。