『ロスト・シンボル』ダン・ブラウン(著)越前敏弥(訳)★★★★☆

ロスト・シンボル 上・下 2冊セット

ロスト・シンボル 上・下 2冊セット

評価はちょっと厳し目かもしれない。この人のこういうスタイルもまだ2作目にしてちょっと食傷気味。おもしろいんだけどだから何?って本はよくあるけど、これもそのよくある中の一つだな。宗教に関する蘊蓄も{まあそんなとこだろう}という程度だし、フリーメイソン(リー)に関してのそれは{ああなるほどね}。ワシントンDCの建造物についてのそれも{あ、そう}と某国の前元首のような反応しか生まれてこない。肝心の暗号についてもなんか簡単というか、あれを知らなきゃわからないが知ってれば必然的にわかるというものか、{それはアカンだろう}というもので、俺としては共感できるものではなかった。
それになにより純粋知性科学というなんとも似非科学っぽいものが大きな役をあたえられているのが気になった。あれは別にいらないんじゃないか。なくてもいいんじゃないか。あるいは別のものでもいいんじゃないか。あれのせいで[トンデモ]くささが納豆レベルからクサヤ級にパワーアップしている、と思う。にもかかわらず、それを登場させているということは、純粋知性科学はよほど著者のお気に入りで、むしろそれこそが著者のいちばんアピールしたいことだったのではないか。