おなら芸人

パニョルは笑いをさまざまに分析、類別するエッセイのなかで、前世紀末にムーラン・ルージュの小屋を数年にわたって毎夜動揺させつづけた芸人のあったことを書いている。それは御鳴楽(おなら)でラ・マルセイエーズを演ずることができたという空前の異才で、これに拍手を惜しまなかったのはラブレエ以来のゴーロワ精神からして当然かと思われる。この笑いは赤でもなく黒でもなく、しいて色別すれば黄ということになるかもしれないが、(以下略)<1971年4月3日『朝日新聞』>

「食後の花束」(開高 健)角川文庫版95-96ページより引用
パニョルとかゴーロワ精神とかわからなかったので調べてみた。
パニョルは、マルセル・パニョル(1985/2/28〜1974/4/18)フランスの国民的作家(劇作家)。たくさん映画化されている。
ゴーロワ精神 esprit gaulois とは、クルトワ精神 esprit courtois の対義語であり、クルトワ精神とは宮廷精神の意。ゴーロワ精神をうまく表現することができないので、そこから推し量ってください。ゴーロワとは原フランス人たるゴール人(ガリア人)のことのようです。ちなみに、昔すきだったタバコの銘柄でもあります。