もうひとつのSPAIN

ここに1本の古いBASFのカセットテープがある。俺が1980年にキリンビールブリジストンタイヤ提供の番組[ゴールデン・ライブ・ステージ](FM愛知)をエアチェック(懐かしい!)したものだ。番組では5週にわたって[ライブ・アンダー・ザ・スカイ '80]の模様を放送したが、その第3週にあたる。内容は、同年7月26日に田園調布の田園コロシアムでおこなわれた[ライブ・アンダー・ザ・スカイ '80]におけるチックコリアバンドの演奏である。
これがまたすごい演奏なんだ。すばらしいの一言に尽きる。放送では、

  1. Night Streets
  2. Central Park
  3. SPAIN

の3曲だけだが、1曲目のNight Streetsは18分におよぶロングバージョン。
そしてまた、Chick Corea氏の愉快なこと。
はじめに、

This is Tom Breckline on the Drums.
On the trumpet, Al Vizzutti.
On the Congadrums, Don Alias.
On the Flute and the Saxophone, Steve Kujala.
On the Bass, Bunny Brunel.
And the Voice, Dear Moran.

と紹介したあと、

And on the Piano, Herbie Hancock.

なんて言うもんだから、観客は大よろこび。そんでもって、

No, I'm sorry. I'm sorry.
My real name is Bill Evans.

と言って、そのまま演奏を始めてしまった。
さらに、Central Parkと最後のSPAINのあいだにまた、メンバー紹介をするんだけど、ひととおり紹介したあと、こんどは、

Me, on the Piano.

と言ったあと、

You, on the Audience.

なんて言っている。演奏がいいだけじゃなくて、人柄もいいよね。
ちなみにGayle Moran(彼の妻)は日本ではゲイル・モランといっているが、彼は完全に「モレイン」と言っている。「Light as the Feather」ではFlora Purimだったけど、これは好き嫌いが分かれるところかもね。Gayle Moranのほうが声が細いからねえ。
こっちのSPAINはベースも、上記のとおり、Stanley ClarkeじゃなくってBunny Brunel。電気ベースだけど、これはこれでいいんだな。ブルルンブルルンいっちゃってね。
で、気になって調べてみたら、Tap Step*1で演奏してる人じゃん。考えてみれば、1980年というのはTap Stepがでた年だもんな。

*1:

Tap Step

Tap Step