葉っぱを喰う虫をとる

それにしても、あのアブラムシというやつはどうやってあんな高いところにあるバラの蕾までやってくるのか。ヨチヨチ登っていくのか。だったら、ひとつのところから別のところに移動するには、いったん地面に下りて、それからまたヨチヨチ登っていくのか。まさか、枝から枝へ飛び移るなんてことや、他の生き物によって運んでもらえるなんてことはないだろう。あんな小さな体で歩みものろかろうに、ご苦労なこった。
それを俺がはらい落としたり潰したりしてしまうのだから、まあ、気の毒といえば気の毒だ。が、自業自得ともいえるし、「ざまあ見やがれ」ともいえる。おかげで指の腹がまっ黄黄の黄いだぜ。
だけど、あいつらがたかるのは、決まって蕾と新芽のみ。贅沢なやつらだ。
と思っていると、普通の葉っぱでスケスケになっているところが。見るとイラガの幼虫の小さいようなのが、きれいに整列してやがる。まるで、鑑識の人たちが横1列になって遺留品を探しているときのようだ。これは刺されるのがおっかないので、葉っぱごとはさみで切り取り、石の上でゴリゴリすりつぶす。
同じような連中がオカメヅタにもたかっていた。あまり贅沢を言わない、けなげな連中だな。
ブドウの葉っぱもきっと甘いんだろう。こっちは、ふわふわの毛のあるクリーム色の芋虫。いわゆる毛虫。かなり太っている。箸でつまんで歩道に投げ捨てる。道行く人が踏んづけて殺してくれるだろう。植え込みにマーキングしていくクソ犬にたかってくれたら面白いとも思う。未必の故意による器物損壊である。でも、ダニやヒルじゃねぇんだから、動物にはたかるまい。