『死都日本』石黒耀(著)★★★★★

死都日本 (講談社文庫)

死都日本 (講談社文庫)

読んだのは2007年版、これとは表紙デザインが異なります


ひさしぶりにおもしろい本をよんだ。

破局噴火-秒読みに入った人類壊滅の日 (祥伝社新書126)

破局噴火-秒読みに入った人類壊滅の日 (祥伝社新書126)

つながりである。
この本のアタマでいきなり表題の本が紹介されてきた。絶賛という感じ。ならば読まねば、ということで。
実際、紹介してる本よりされてる本のほうがはるかにおもしろくて、なんかある意味ザンネンなことになっている。
こちらは歴とした火山学者が書いているようだが、【破局噴火】という言葉をつかっている。本来は【破局的噴火】、より正確には【じょうご型カルデラ火山の破局的噴火】というらしい。それが表題の本の中で【破局噴火】と呼ばれるようになりそれが一般化する過程が書かれている。そうれを受けてのこのタイトルなのだろうか。
内容はいたって教科書的というか解説的というか、ストーリー性はまったくない。なので、おもしろくはないが、火山や噴火の基礎知識をえられたという意味で、こちらを先に読んどいてよかったかな、という気はしている。


さて、表題の本にもどる。
こちらもそうとう解説がおおい。が、このくらいおおいと予備知識がなくてもよくわかるだろう。九州地方の地理にはとんと疎かったが、それも詳細な地図が添付されていてよくわかった。Googleマップをひらくまでもない。
ところどころ笑えるのもいい。たぶん、主人公のキャラクターがいいんだろう。それに、瑣末なことだが老学者の【博士言葉(はかせことば)】(「そりゃそうじゃ」みたいなやつ)も気に入ってる。この本を読むまえから、すこし自分のなかではブームになっていて、Facebookで気づいている人もいるかと思う。そんな言葉づかいの博士はそうはおらんと思う。
戦後ずーっとつづいてきた保守政権がようやくおわり、その政権交代のすぐあとに大災害が起きる、しかもときの首相の名前が[菅原]というのも、なにやら東日本大震災とぴったりで、思わずこの本が書かれた時を確認したよ。東日本大震災のあとかな?って。そうしたら、2002年に初出だということで、ますますびっくり。あの震災以前にこの本を読んでいた人は、もっともっとびっくりしたんじゃないだろうか。「筋書きどおりだぜ!」って。
でも、災害の規模はあの震災どころではなくって、、、まあこれ以上は書かんとこう。これから読む人のためにね。
あと、古事記旧約聖書ヨハネの黙示録アトランティス伝説の解釈もおもしろかったなあ。