『人は海辺で進化した』エレイン・モーガン(著)望月弘子(訳)★★★★★

うんこ れはいい。アクア説について読みたいのならば、『女の由来 もう一つの人類進化論』エレイン・モーガン(著)望月弘子(訳)★★★★☆ - 主夫の生活など読まずにこれを読んだほうがいい。ウーマン・リブ的な余分なことがなくていい。文章も冗漫でなくていい。スッキリしている。かっちりしている。よって本もより薄い。199ページ(訳者あとがき・索引ふくむ)。よってはやく読める。村上春樹もへんな比喩はやめてこういう文章にすればもっと読みやすくなるのに。
それに、アクア説の最初の提唱者(提唱者というのは最初に言った人のことか?)である、サー・アリスター・ハーディーの文章(補章I「三つの論文」)もおもしろい。とくに資料3がおもしろい。裏話的で、声を出して笑える。デズモンド・モリスがのちに”「現在では僕も、多分あなたの説が正しいと思っていますよ」”と語ったこととか…
補章IIIの「象について」もよかった。メスゾウの性器の位置も、頭蓋骨にあいた鼻用の孔の位置のことも知らなかった。
第12章の「ダナキル島」と題された、レオン・P・ラ・リュミエール・ジュニア(合衆国ワシントンDC、海軍調査研究所)の論文もいい。きっちりしていていい。ネタバレになるがつまりこのへんだな。

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人類発祥の地は。
それにおれはいままで、より古い猿人→ホモ・ハビリスホモ・エレクトスのように直列的に進化してきたのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。人はダナキル島で進化し、そこが大陸と地つづきになるときに、つまり地質学的な時をへだてて大陸に出ていった。つまり、ダナキル島が工場で、時期をずらしてその時々の新製品が出荷される。よって大陸には新旧まぜまぜの人類が混在することになる。それらは混ざりあって一つになってしまったのか、どちらかがもう片方を(おそらくは新型が旧型を)駆逐してしまったのか。