水道代がえらいことになる

インターホンがなり、出ると水道の検診の人だった。「水道代がかなり多いのですが家族の人数がふえたとか…みたいなことありますか?」と聞かれ、インターホンでは失礼だし話しにくいので外にでる。検針票を見てびっくり。33000をこしている。
そして「今もメーターがかなりの速さで動いている」と言われた。「さっきまで洗濯をしていたから、まさに今ならどうか?」と聞くと、メータを見せてくれた。たしかに動いている。はっきりとわかるくらいのスピードで。
夏になって、庭のクスノキにくるセミを追いはらうために、散水ホースを使えるようにしてほしい、と子どもにたのまれ、自分で蛇口を開けるのが面倒なので、そんなにやりたかったら自分で開けな、と去年の夏からずーっと閉じていた蛇口を子どもに開けさせた。そのときノズルからすこし水が漏れていることは気づいていたのだ。しかし、前回の検針で使用量への影響がまったくないようだったので、そのままにしてあったのだ。少しずつでも積み重なるとすごいことになるんだなあ、と、そのときは思った。
とりあえず散水栓を閉めようと、家の脇にあるそこへいくまえに、まず散水ノズルを見てみた。ノズルからは水漏れしてなかった。そして散水栓へいってみてびっくり。散水栓のあるマスが水没しているではないか。マスの鉄のふたを開けると、なんと、散水栓とホースのつなぎ目あたりから水がダーダー出てやがる。水没しているので詳細はわからない。泥水の中に手をつっこんで手さぐりで蛇口をしめ、水のひくのを待つ。
そうか、ノズルから水漏れしてなかったのは、もっと元のほうで水漏れしてたからか。つまり、ノズルから水漏れしていたうちは元のほうで水漏れしていたわけではないのだな、たぶん。
水道の検針は2ヶ月毎なので、前回の検針はまだ、散水栓を開いたばかりだったはずだ。そのせいで水道使用量に影響が見られなかった、とはじめは考えたが、それよりも、ノズルからのちょろちょろ漏れから元のほうからのダダ漏れに移行したのが、前回の検針以降と考えたほうがしっくりくる。
しばらくして見にいくと、水はひいていた。ためしに蛇口を開けると、蛇口とホースをつなぐカプラの蛇口側のやつから水鉄砲のように細くて勢いのある水が数本ほとばしり出た。どうもプラスチックが劣化してヒビが入り、そこから漏れているようだ。はじめ見たときのようなダーダーという出かたとはちがうが、それはそこが水没しているかどうかのちがいだろう。あるいは、俺が開いた以上に蛇口が開いていたのかもしれない。
それにしても、使用量は5倍ぐらいなのに、料金は10倍弱。なんでかというと、上水の使用量に応じてそれ以上に下水道使用料がかかってくるから。ああ、もったいない。3万円ドブに捨てたようなもんだ。“ようなもんだ”じゃない、文字どおりドブに捨てたんだよ。


まあ、どうせ、来年の夏まで使うことはなさそうだし、とりあえずは蛇口を閉めて、放置だな。来年のことは来年かんがえよう。水でセミを追っぱらうのも、俺はどうかと思っているので。
かわいそうとかいう意味じゃないよ。それよりも殺虫剤のスプレーを遠隔操作できるように(竹の先にでもくくりつけ紐をひっぱって噴射するみたいな)したほうがいいんじゃないか、と考えているんだ。セミはもうゴキブリや蚊のような害虫だからな。
ヒグラシだったらむしろ癒される、ツクツクボウシなら愛嬌がある。ミンミンゼミでもまだ風情があっていいんだけどな。上の子が神奈川県の下宿先からかえってきてまっさきに言ったせりふが、
「こっちのセミは品がないな」
だからなあ。たしかに品がない。アブラゼミならまだ耐えれるけど、最近はクマゼミが主流だろ。おれたちの子どものころはクマゼミなんか見つけただけでもヒーロー、つかまえようものならもうスーパーヒーローだったのになあ。いまじゃあ、網戸にとまって鳴きやがって、素手で簡単に捕まえれるぜ。