埼玉へいく

最初からけちのついた旅だった。
午後9時5分ごろ妻をデンソー本社に迎えにいき、そこから直近の伊勢湾岸道豊田南ICから高速にはいる計画だった。
家を出るのは予定通り午後8時43分だったのだが、ガソリンが半分未満であることに気がついた。とおりみちにいつもの安いGSがあるので、ガソリンを入れたりついでに小便をしていて時間を食ってしまった。途中で妻から電話があり、もう終わったのでデンソーの少し手前のファミリーマートにいるという。
ファミリーマートをさがして走っていたら、デンソーについてしまった。ファミリーマートなんてなかったぞ。それとも俺が見落としたのか?
妻に電話をしてアーダコーダとやりとりをして、見にくいナビの地図(ナビの地図そのものが見にくいというのもあるけど俺がコンタクトレンズだと近くが見えないという意味もある)をよく見ると、デンソー本社のてまえにデンソー池田工場というのがあるのだった。本社はもうすこし先だったのだ。そりゃファミリーマートがなくても不思議はない。
まあ、それでも妻をひろって、豊田南ICにいく。ICにはいる直前の電光掲示板になにか不吉なことが書かれていたような気がした。たぶん「豊田JCT-岡崎間 事故 通行止め」とかなんとか。しかし、瞬時にそれがどこで、俺が今からどこを通るのか判断できず、なにぶんにも入り口直前のため、それが東名で、これから自分が通るところじゃん!てわかったときには、すでにクルマはもうあともどりできないところまで来てしまっていたのだ。
豊田JCTの東名はこっち(↖)という案内標識があるあたりから、いちばん左の車線は渋滞。普通の渋滞とちがって、微動だにしない。やれやれ。ハイウェイラジオによると、「解除の目処はたっていません」。どうせすぐに解除されるだろうというアマイ期待はみごとに否定されたのだった。そのうち真ん中の車線も、そしていちばん右の車線も渋滞しはじめた。
それでも、10分ほどするとハイウェイラジオは「通行止めは9時40分には解除されましたが、追い越しトザイン走行を規制してレッカー処理をしています」と言いはじめた。この[トザイン走行]と聞こえる言葉がなにを意味しているのか、あるいは本当はなんと言っているのか、10何回聞いても(暇ですから)、妻と10分ほど議論しても、まるでわからないのだった。とはいえ、通行止めは解除され、車線規制はあるものの一応通れるようにはなったのだろう、ということは想像できた。そうか、スマホで録音しとくという手があったか。
しかし、車列はいっこうに進まない。
動き出したのは30分ほどたってからだろうか。
現場付近はもう事故車両もなくゆっくりではあるがスムーズに流れていた。
しかしそのあとがいけない。パトカーに後ろにつかれてしまったのだ。あたりは暫定的に3車線化したところで、もともと60キロ制限なんだが、その時は40キロ規制になっていた。どうせ事故現場から帰るパトカーなんだと思うのだが、パトカーが後ろにいたんじゃ気になってしかたがない。前方のクルマは後ろにパトカーがいるのを知ってか知らいでか、どんどん先にいってしまう。
そのうち、パトカーは業を煮やしたように(たぶん、「遅っせーなあこのミライース、なにビビってやがんだ、ちんたら走りやがって、こちとら早く帰りてぇんだよお」なんて思ってたんだろうなあ)車線変更を繰り返し、スイスイと彼方へ消えていったのであった。
そんなふうに大幅に時間を食ってしまって、当初、新東名の静岡SAあたりで寝ようかと思っていたのだが、とてもじゃないがそんなところまではいけそうにない、せめて新東名に入るところまでは走ろう、ということにした。
新東名に入って、最初のSAは浜松SA。そこでちょっと休憩と、便所にいったら、もうそれ以上走る気がなくなってしまった。てなわけで、浜松SAで車中泊
このまえ作ったクルマ用網戸(クルマ用の網戸 - 主夫の生活)を使いました。

そもそもSAがわりと混んでいて、まわりにクルマがとまってないようなエリアがなかったので、自分のクルマの両隣に別の車がとまっていたのはしかたがない。しかし、夜通しエンジンをかけっぱなしというのはアカンだろ。こちとらわざわざ網戸を作って窓を開けれるようにやってんのによお。うるさいのは寝付くまでだけど(妻は夜中も気になったらしい)、おれは排ガスが心配だったぜ。窓から入らないかって。ただし、街灯の真下をさけ、端っこから2つ目の区画にとめたのは間違いだったな。端っこならばそのリスクが半分になったのに。
予定では静岡SAを6時ぐらいに出発だったんだけど、たまたま目がさめたので浜松SAを4時ちょっとすぎに出発した。
途中で夜明けの逆光富士が道路の真正面に見えた。

妻が運転して、俺が助手席から撮りました、念のため。
そのあとは順調にいったんだけど、東名川崎ICの手前で、東京ICを先頭に8キロ渋滞・通過時間は30分というアナウンスがあった。8キロといえば東京ICから川崎ICまでの距離である。その全区間が渋滞しているとわかっているのにそのままいくのは、通行止めとわかっていてつっこんでいくようなもんだと考え、川崎でおりたのだった。まあ、羹に懲りて膾を吹くというやつだな。普通に考えれば、その時間帯に都市部の下道8キロを30分で走るのはむずかしいだろう。結果的に、玉川通りから環八に左折するところ以外、下道がわりかしスムーズでそれほど時間がかからなかったが、そこは高速からおりないのが正しい選択だったと思う。
そして、今回の最大のケチはこれだな。首都高を大橋JCTから中央環状に曲がらずに、そのまま渋谷線をいってしまったのだ。事前にルートを確認してはあったのだが、まさか案内標識が路線番号のみの表示とは。こちとら[中央環状]というのは知ってても[C2]とか[3]とか知らねえよ、って。てなわけで、皇居近くまでいってタッチ&ゴーだ。3号渋谷線からC1都心環状経由で5号池袋線をとおって板橋JCTでC2中央環状に入った。もちろん、じっさい走ってるときはどの線をとおっているかなんてわかってなくて、ただどこどこ方面こっち(↖ ↗)という案内標識だけをたよりに走ってたんだけどね。ただどこどこ方面と言われても地名がよくわからなくて困るんだよな。それでもなんとなく最短のルートでコースに復帰できたってわけだ、今から思うと。
そうそう、もともとはさいたま市記念総合体育館が目的地だったのに、当日になって春日部市総合体育館に変更になったので、そっち方面の予習はしてなかったのもいけないんだよね。
それと、ナビが古くて、中央環状の大橋JCTから西新宿JCTまでがまだ載ってないんだよね。それが失敗のおおもとかもな。
東北道をおりて最後の最後に、めちゃめちゃ遅いくせに黄色のセンターラインはみ出しまくりの地元ナンバーのクルマが前にいて、かなりイライラしたけど、それでも予定の9時半には3分ぐらいしか遅れずに目的地に到着することができたよ。


埼玉は暑かった。春日部は、と言ったほうがいいか。日射が暑いのは名古屋もおなじである。しかし、大地が暑い。大地が熱されて地面から熱気がわきあがっている。まるでフライパンであぶられているようだ。たしかに空気は乾燥しているが、暑い。いかにも内陸的な暑さだった。熊谷よりはだいぶ海寄りだけど。


帰りはルートこそスムーズにこれたけど、C2中央環状の渋滞がひどかったなあ。とくに西新宿JCTから大橋JCTまで。トンネル区間が長くて中が高温になっちゃうんでってミスト冷却装置があったぜ、ひでえな。
それにしてもC2中央環状の[C]ってなんなんだ?って思ったら[Chuou]の[C]か。ならC1都心環状の[C]はなんなん?[Central]の[C]?だったら、[中央]だって[Central]じゃん?それに[中環]て表示があるけど、ここは香港か?!
あ、そうそう、少しもどるけど、東北道から首都高に入ったところにある川口PAというところにもよったんだ。なんか木々に囲まれた公園のようになっていて、いい感じだったなあ。人も少なくて落ち着く感じ。福島産ピーマンが10個ぐらい入って150円で売ってたよ。
東名の海老名SAで夕飯食って、おれは長い渋滞運転で疲れたので、妻に運転してもらったら腹がふくれて眠ってしまったのでまるで覚えてないが、たぶん愛鷹PAにクルマをとめて寝たんだと思う。妻も記憶がさだかじゃないが、新東名への分岐をすぎ東名を少し走ったところというので、きっとそうだろう。全然暑くなかったので、窓を閉めたまま眠った。
暑くて目が覚めたのが、12時ぐらいだと思う。おれはすっかり元気になって、もうすこし先までいっておこうと走りだした。
道はすいていて、このままだと早朝のヘンな時間に家についてしまいそうだし、こんな時間なら高速じゃなくてもいいだろうと思って、静岡ICでおりたのだった。そして、1号をビュンビュン走って、途中ガソリンがなくなりそうになってきてかなりあせったけど、ちょうどうまいぐあいに街がでてきてそれはなんとかなり、ちょっと休憩したくなったけど道の駅もなんにもないなあ、と思いつつ走っていると、これまたうまいぐあいに[道の駅潮見坂]というのがでてきた。3時ぐらいだと思う。
そこで、小便をして顔を洗ったら、もう運転する気がなくなって5時ぐらいまで寝よう、それから出発すれば通勤ラッシュよりまえに家につくだろう、と思って寝た。
ところが目が覚めたらもう6時だった。あわてても無駄である。岡崎あたりではけっこう混雑していた。家の近くまできたときには、むしろラッシュ時をすぎて少しすいてきたくらいであった。

まとめ

普通のお仕事の時間の9:00AMから5:00PMの真裏である9:00PMから5:00AMは道がすいている。普通のお仕事の時間の9:00AMから5:00PMの前後3時間は、各日本高速道路会社の提供する通勤割引の適用時間帯であるが、やはり超混みなので、時間が許せばその時間帯は寝て待つのがいい。まあ、めし食ったり風呂入ったりしていてもいいが。