『沙羅双樹』★★★★★

沙羅双樹 デラックス版 [DVD]変わった映画だった。全編手持ちカメラなんだろう。しかも解像度の低い。画面は常にブレているといっていい。で、同時録音なのか、声の大きさにばらつきがあり、背景の音もちゃんと入っている。なので、まるで家庭でとったビデオを見せられているような感じだ。
声の大きさにばらつきがあり、背景音もちゃんと入っている。それがものすごく新鮮で、とても自然に感じる。そして、いままで見た映画がたぶんすべて不自然だったことに気づく。
カメラは執拗にパンをする。冒頭は彼らの家なんだろうが、休業中の工場のようだ。だが、なにをつくってる工場なのかわからない。豆腐屋なのか印刷工場なのか。親父はどうやって生計をたてているのかわからない。
子どもが走るところも、高校生になった子どもが二人乗りの自転車で下校するところも執拗に追いかける。町並みを写すことが目的のようだ。
祭りの踊りのシーンが異様にながい。
大きな事件はあるのだが、それがさり気なくえがかれる。それがねらいだと思う。
不思議な映画である。
生瀬勝久がきわめて自然な芝居をしていた。ああいうのははじめて見た。あれなら好感がもてる。