下の子のサッカーの試合

小学校最後の試合だろうということで、見にいく。
同点のときはいいのだが、点差が2点3点と開いていくと、とたんに勝負なんかどうでもよくなってしまう。先生は「まだまだ」「気持ちを保って」「あきらめるな」みたいなことを叫んでいたが、俺はもうだめだ。もう応援する気持ちよりも、「ああ鳥がよう鳴いとるなあ」とか「日差しが背中に当たって気持ちええなあ(でも腹は寒い)」とか、勝負に関係ないことばかり考えてしまう。
子どもたちはよくがんばっている。俺だったら、あんなふうにボールの取り合いみたいになったら、すぐにあきらめて敵にゆずってしまうと思う。スポーツだけでない。議論にしても、すぐに「じゃあ、まあいいです」と引っ込めてしまう。
いつからこんな敗北主義になってしまったのだろうか。いや、敗北主義と言っていいのか。はじめから負けると決めてかかっているわけではない。ただ勝とうという気がない。と言うか、勝つとか負けるとかいうのは俺にはほとんど関係ない。そんな気がする。
とにかく、子どものころからあきらめが早かった。いつも途中で投げ出してしまう。小学生のとき、お習字は1年もたなかった。算盤もなしくずし。中学も高校も大学も、部活は中途退部。大人になってからだって、「戦場のメリークリスマス」もすぐにあきらめてしまった。高校受験も大学受験も、志望校を簡単に簡単なほうに変更したし、とどのつまりは仕事もやめてしまった。最後まで何かをやり遂げた、というものは、何ひとつないのではないかと思う。